用語解説

<VOCs>

Volatile Organic Compoundsの略。揮発性有機化合物の総称として用いられ、低級の炭化水素/脂肪酸/アルコール/アルデヒド類等が含まれる。環境汚染物質としては、ベンゼン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン等が代表的な物質として知られる。これらの検知は、揮発ガスを対象とした測定が一般的であり、その検出には、PID検出器、FID検出器、ELCD検出器、赤外線分析器、ガス検知管等が用いられる。

<地下空気汚染>

地下に浸透したVOCsなどの汚染物質の一部が、地層間隙中の空気に移行した状況を指す。

<PID>

Photoionization Detectorの略。ガスクロマトグラフィ(GC)用の検出器とし広く一般的に用いられる。測定対象化学物質のイオン化エネルギーレベルを満たす検出用ランプを随時選択し用いることで、その化学物質の検出を可能とする。また同様の機構を持った携帯(スナップオン)型の簡易装置も市販されており、汚染対象物質が同定された汚染現場での簡易検出に広く利用されている。一方、物質分離機構をもたぬ携帯型の使用においては、汚染対象物質が未同定の場合の検出値の取扱いには注意を要する。

<ガス検知管>

薬品を封入したガラス管内に測定対象ガスを吸引通過させると、ガス濃度に応じて発色し濃度測定する測定器。VOCsの表層汚染調査では標準的に使用される。

<FID>

Flame Ionization Detectorの略。水素炎を用いて対象物質をイオン化しその電気的検出によって物質を検知する。主としてVOCsの検出を目的として利用され、ガスクロマトグラフィ(GC)用の検出器とし広く一般的に用いられる。携行/自吸型の簡易装置も市販されており、汚染対象物質が同定された汚染現場での簡易検出への利用が図られている。一方、対象がハロゲン化物質等である場合は、検出器感度低下が顕著であり、そのデータ解釈には注意を要する。また、物質分離機構をもたぬ携行型の使用においては、汚染対象物質が未同定の場合の検出値の取扱いには注意を要する。

<ELCD>

Electrolytic Conductivity Detectorの略。対象物質に対し熱分解を図り単純なイオン化合物ガスに変換後、そのガスを水溶液中に溶解/イオン化させ、その溶液の電気伝導度の変化によって対象物質を検知する。塩酸等のハロゲン酸の生成が期待される有機塩素化合物等の特異的検知に有効とされ、ガスクロマトグラフィ(GC)用の検出器として広く用いられる。一方、携行に適した水溶液へのガス吸収機構を省いたドライタイプの検出器も市販され、GCと組み合わせ、汚染現場での上記有機塩素化合物検出への利用が図られている。

<赤外線分析器>

化学物質が有する赤外線領域での吸光特性を利用した検出/分析器であり、対象物質に特異的な波長とそのモル吸光係数が既知であれば、簡単な機器調整のみで多成分に対しての同時定量を可能とするマルチモニタリング機構を特徴とする。環境汚染物質に対しては、各物質に対するマルチモニタリングの他、炭化水素系ガス(油汚染)に共通する吸収波長等を利用した油汚染検出/定量を可能とする。米国では作業環境測定用の携行/自吸型の調査機器として長年の実績があり、国内においても同分野の他、複合汚染サイトの簡易汚染調査機器としての利用が図られつつある。


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